自治体DX推進計画とは?重要事項や4ステップを詳しく解説

DXは、企業が新しいビジネスモデルやサービスを生み出すために行うものというイメージが定着していますが、実際にはビジネスだけでなく、行政など幅広いシーンで導入されています。

その代表的な例の一つが、2020年12月に総務省によって策定された「自治体DX推進計画」です。[注1]

今回は、自治体DX推進計画の概要や、特に重要な事項、計画を進めるためのステップについて解説します。

[注1]総務省|自治体DX推進計画概要

自治体DX推進計画とは?

自治体DX推進計画とは、2020年12月に閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」における自治体の情報システムの標準化・共通化といった施策を効果的に実行するために策定された計画のことです。[注1]

計画には、デジタル・ガバメント実行計画における自治体関連の各施策について、自治体が重点的に取り組むべき事項と内容を明確にすると共に、総務省や関係省庁などによる支援策なども盛り込まれています。

なお、自治体DX推進計画の対象期間は2021年1月~2026年3月までの約5年間を対象期間としています。

自治体DX推進計画が策定された理由

自治体DX推進計画が策定された背景には、新型コロナウイルス感染症の影響があります。

新型コロナウイルス対策として、国や自治体はさまざまな支援策を講じてきましたが、申請や手続きのために役所に人が殺到したり、手続きが煩雑で思うように申請できなかったりと、対応が後手に回ってしまうシーンが多々見られました。

こうした反省点や課題を踏まえ、政府は国民が安全かつ簡単に利用できる情報システムの構築や、地域・組織間での横断的なデータの活用を実現するため、自治体DX推進計画を策定し、全国で足並みをそろえた行政の電子化を目指しています。

自治体DX推進計画の重要事項

政府は自治体DX推進計画において、以下6つの項目を「重要取組事項」として掲げています。[注1]

1.自治体の情報システムの標準化・共通化

自治体の情報システムは、これまで各自治体が独自に構築・運用してきましたが、2025年度を目標に、「Gov-Cloud(ガバメントクラウド)」の活用に向けて基幹系17業務システムを国の策定する標準仕様に準拠したシステムに移行します。

Gov-Cloudとは、政府の情報システムについて、共通的な基盤・機能を提供する複数のクラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS)の利用環境のことです。[注2]

Gov-Cloudを利用すれば、自治体はサーバーやOS、アプリなどを自ら保有しなくてもオンライン上で基幹業務等を行えるようになるため、コスト削減につながります。

またGov-Cloudが提供する機能を活用することで、情報システムの迅速な構築や柔軟なカスタマイズが可能になります。

他にも、データ移行や庁内外でのデータ連係が簡素化されること、各自治体が個別にセキュリティー対策や運用監視を行う必要がなくなることなど、さまざまなメリットがあります。

[注2]総務省|地方自治体によるガバメントクラウドの活用について(案)

2.マイナンバーカードの普及促進

2022年度末までに、ほとんどの住民がマイナンバーカードを保有している状態を目指し、カード申請を促進すると共に、交付体制の充実化を図ります。

マイナンバーカードの普及率は2021年11月1日時点で39.1%に留まっており、自治体による差も大きくなっています。[注3]

マイナンバーカードの普及を促進するために、政府ではカード交付業務にあたる人件費の増加や、窓口の増設のための経費を支援します。

[注3]総務省|マイナンバーカードの市区町村別交付枚数等について(令和3年11月1日現在)

3.自治体の行政手続のオンライン化

2022年度末を目標に、住民が主にマイナンバーカードを使って申請を行うことが想定される31の手続きを、マイナポータルからオンライン手続きできるようにします。

31手続きの内訳は子育て関連が15手続、介護関連が11手続、被災者支援、自動車保有関連が4手続で、生活に密接した手続きをオンライン化することで、住民の手続き負担を軽減します。

政府はマイナポータルに自治体との接続機能等を実装したり、UIやUXを改善したりして、マイナポータルの利便性向上を目指します。

4.自治体のAI・RPAの利用推進

自治体の情報システムの標準化・共通化や、行政手続きのオンライン化にともなう業務見直しを機に、AI・RPAの導入・活用を推進します。

AIは「人工知能(Artificial Intelligence)」、RPAは「業務自動化(Robotic Process Automation)」のことで、導入すればバックオフィスの定型業務などを自動化することができます。

AIやRPAの導入には、総務省が策定するAI・RPA導入ガイドブックを参考にします。

5.テレワークの推進

総務省が提供するテレワーク導入円滑化のためのセキュリティポリシーガイドラインや、テレワーク導入事例を参考に、テレワークの導入・活用を推進します。

テレワークの推進は感染症予防にはもちろん、災害などによって庁舎を利用できなくなった場合の事業継続、育児や介護、障害などによって働き方に制約のある職員への対応などにも有効です。

6.セキュリティ対策の徹底

総務省がまとめた改訂セキュリティポリシーガイドラインをもとに、適切にセキュリティポリシーの見直しを行い、徹底したセキュリティ対策を行います。

自治体では住民の大切な個人情報を取り扱っており、住民が安心・安全に行政サービスを利用するためには、適切な方法でデータを管理する必要があります。

現時点では自治体ごとにセキュリティ水準に差がありますが、国が高度なセキュリティレベルを満たすクラウドサービスへの移行を支援します。

自治体DX推進計画を進める4ステップ

総務省は2021年7月に、自治体DX推進計画を進める手順を示す「自治体DX全体手順書」を取りまとめて公開しています。[注4]

ここでは、自治体DX全体手順書が示す一連の手順を4つのステップにわけてご紹介します。

[注4]総務省|自治体DX全体手順書【第 1.0 版】

1.DXの認識共有・機運醸成

DXの目的は、データやデジタル技術を活用し、利用者目線で新たな価値を生み出すことです。

DX=新たなデジタル技術を導入することと思われがちですが、デジタル化やデータの活用はあくまで新たな価値を創出する手段であり、真の目的は行政サービスの利便性向上および職員の業務負担軽減にあります。

DXの実現に向けて、自治体は首長や幹部職員がリーダーシップや強いコミットメントを持ち、一般職員も含めて全体にDXの基礎的な共通理解を広める必要があります。

2.全体方針の決定

DX推進にあたり、ビジョンと工程表によって構成される「全体方針」を決定します。

自治体DX推進の意義をもとにしつつ、地域の実情も踏まえながら、今後どのような方向でDXを進めていくべきかを明確にします。

具体的には、現在のデジタル化の進捗状況の把握した上で、DXの取組内容や取組の順序を工程表にまとめるのが効果的です。

3.推進体制の整備

DX推進担当部門を設置し、DXの司令塔として各業務担当部門と緊密な連携を行える体制を整えます。

各部門の役割に合ったデジタル人材を配置することが大切ですが、適切な人材がいない場合は、デジタル技術等の知識や能力、経験などを設定した体系的な育成方針のもと、優秀な人材の育成を図ります。

必要に応じて外部から優秀な人材を派遣してもらうのもひとつの方法です。

4.DXの取組みの実行

重点取組事項に関連するガイドラインなどを参考に、個別のDXの取組みを計画的に実行します。

計画の実行にあたっては、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4ステップで構成されるPDCAサイクルによる進捗管理を行ったり、Observe(観察、情報収集)、Orient(状況、方向性判断)、Decide(意思決定)、Act(行動、実行)の4ステップで意思決定を行うOODAループを活用したりするのが効果的です。

自治体DX実現のために、推進計画の内容や手順書をチェックしよう

自治体DX推進計画は、全国の自治体が足並みを揃えて行政サービスの電子化やオンライン化に対応できるように策定されたものです。

計画で掲げられた重要取組事項の中には、2022年度末までの達成を目標に掲げているものもあり、迅速な対応が急務となります。

自治体DX推進計画の実行にあたっては、各重要取組事項に関するガイドラインや、自治体DX全体手順書などに詳細や要点がまとめられていますので、これらの内容をよく確認し、計画的な取り組みを目指しましょう。

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