DX推進のためのアジャイル型組織とは?その特徴や作り方を解説

ビジネスにICT(情報通信技術)を用いるのが一般的になっている今、データとデジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズをもとに新たなサービス、ビジネスモデルを創出するDXに注目が集まっています。

国でも「DX推進ガイドライン」をまとめるなど、DXの実現を積極的に後押ししていますが、その一方で、従来のシステムや組織体系がDXの推進を阻んでいることを大きな問題として取り上げています。

そこで現代日本のビジネス問題を解決する手段として、近年注目されているのが「アジャイル型組織」です。

今回は、DX推進に貢献するアジャイル型組織の概要とその特徴を紹介すると共に、アジャイル型組織が抱える課題や、具体的な作り方について解説します。

DX推進のためのアジャイル型組織とは?

アジャイル(Agile)とは、「敏捷」「素早い」などの意味を持つ英単語です。

もとはシステム構築やソフトウェア開発などで用いられていた専門用語で、短期間でトライアンドエラーを繰り返しながら進めていく開発方法を「アジャイル開発」と呼んでいます。

あらかじめ立てた計画に沿って開発を進めていく「ウォーターフォール開発」に対し、予想に反した状況に陥っても臨機応変に対応できる柔軟性の高さが大きな特徴となっています。

アジャイル型組織は、そんなアジャイル開発の柔軟性・俊敏性を採り入れた組織体系のことです。

従来の日本企業のほとんどは、社長や代表取締役などのトップを頂点に据えたピラミッド型の組織体系が主流であり、業務に関する意思決定をトップが下し、それに基づいて下部組織(一般社員)が動くというトップダウン方式の運営が行われていました。

しかし、意思決定が必要になるたびに上からの指示を待っていると、プロジェクトや業務に滞りが発生しやすくなります。

一方のアジャイル型組織は、意思決定の権限や責任が従業員に分散されており、チームやプロジェクトがそれぞれ自律的に運営されているところが特徴です。

いちいちトップダウン方式の指示を待つことなく、各々が自分の権限・責任のもとに動けるようになるため、よりスピーディで柔軟な対応を行えるようになります。

経済産業省も、DX推進のためには「データ活用等を通じて、スピーディな方針転換やグローバル展開への対応を可能に」することが必要と提言しており、柔軟性と俊敏性を併せ持ったアジャイル型組織の作成はDX推進の有効な手段となり得るでしょう。[注1]

[注1]経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」

アジャイル型組織の特徴や例

アジャイル型組織は、従来のピラミッド型組織に比べて以下のような特徴を持ちます。

変化するニーズへの柔軟な対応

顧客や社会のニーズは絶え間なく変化しているため、企業は時代の流れに合わせてこうしたニーズに迅速かつ柔軟に対応していく必要があります。

アジャイル型組織では、トップだけでなくチームや社員単位で権限が付与されているため、意思決定までに要する時間が短く、めまぐるしく変化する顧客・社会のニーズにも、遅れずにぴったり寄り添っていくことができます。

フラットな組織ネットワーク

上下関係が明確な縦社会となっているピラミッド型組織に対し、アジャイル型組織では権限や責任を持つ社員やチームが、それぞれフラットなネットワークを構築しています。

もちろん、チームやプロジェクトごとにリーダーは存在しますが、あくまでメンバーのまとめ役であり、チームに属するメンバー一人一人にも権限や責任が付与されています。

ただ上からの指示を待つだけの組織体系とは異なり、各自が自律的に行動できるフラットなネットワークを構築することで、より独創的なアイデアを生み出したり、画期的な問題解決の糸口を見つけたりする効果を期待できます。

PDCAサイクルの迅速化

企業が恒久的に成長・発展を遂げるためには、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返して業務を継続的に改善させる「PDCAサイクル」を効率よく回すことが重要なポイントとされています。

ピラミッド型組織の場合、PDCAサイクルを回す過程で、何度もトップに判断を仰がなければならないため、サイクルが一周するまでにかなりの時間を要します。

アジャイル型組織なら、チームや従業員ごとの単位で計画の立案、実行、評価、改善を行うことができるため、短期間でPDCAサイクルを回し続けることが可能となります。

こうした特徴を持つアジャイル型組織は全世界で見られますが、その代表格として知られるのがサブスクリプション型の音楽配信サービスを提供するSpotify社です。

Spotify社では、プロダクト責任者を中心とした「Squad(分隊)」、複数の関連するプロダクトのSquadを集めた「Tribe(部族)」、同じ専門分野に長けた人材を集めた「Chapter(部門)」、同じ分野に関心・興味を寄せる人が集まる「Guild(ギルド)」の4つによって組織が構成されており、それぞれのチームは自分の役割をこなしつつ、他3つのチームと連携して顧客ニーズ・社会ニーズに沿ったサービスの開発・提供を実現しています。

アジャイル型組織が抱える課題

アジャイル型組織はDX推進に適した組織体系ですが、その一方でいくつかの課題も抱えています。

アジャイル型組織の作成に着手する前に、どのような課題があるかしっかり把握し、適切な対応を行いましょう。

マネジメントの問題

アジャイル型組織では、従業員が上からの指示を待たず、それぞれが自律的に行動し、プロジェクトを進行させていきます。

物事に対してスピーディに対応できる反面、次から次へとタスクが増えていくため、マネジメントが難しくなるという問題を抱えています。

プロジェクトやチームを編成する際は、メンバーの自律性を尊重しつつ、必要に応じてプロジェクトの進め方や内容を見直す高度なマネジメント力を備えたリーダーやマネージャーを選定する必要があります。

組織全体の統制が取りにくい

アジャイル型組織は従業員がそれぞれ自律的に動いているため、トップの意思決定に従って行動するピラミッド型組織に比べると、組織全体の統制が取りにくい傾向にあります。

アジャイル型組織を採用する際は、チームや社員のパフォーマンスを見える化したり、スムーズに情報を共有できる手段を導入したりして、組織全体の統制を取りやすい環境を整える必要があります。

DX推進のためのアジャイル型組織の作り方

従来のピラミッド型組織から、自律性の高いアジャイル型組織に移行するのは簡単なことではありません。

短期間で無理に移行しようとすると、現場に混乱が生じて業務に支障を来す原因となりますので、まずは試験導入としてパイロットチームを作成することからスタートしましょう。

パイロットチームには、実際にアジャイル型組織を作成した場合を想定し、顧客サービスに関わるプロジェクトを任せます。

同時に、パイロットチームのパフォーマンスを見える化するツールや、情報共有のためのシステム、タスク管理システムなども導入し、アジャイル型組織の課題となる統制やマネジメントの問題にうまく対応できるかどうかを検証します。

当然、新たな試みには試行錯誤を繰り返さなければなりません。しかし、パイロットチームが一定の成果を挙げれば、アジャイル型組織の有効性を組織全体で共有できると共に、「アジャイル型組織とはどんなものなのか」「どのように仕事を進めていけばいいのか」といった疑問・不安を払拭することができます。

DX推進のためにアジャイル型組織の作成を検討しよう

DXを推進するためには、従来のようなピラミッド型組織ではなく、顧客や社会のニーズに柔軟かつスピーディに対応できる組織体系への変革が必要です。

アジャイル型組織では、個々が持つ責任や権限のもと、自律的に考え、行動できる体系が整っているため、DXのスムーズな推進に役立ちます。

ただ、従来のピラミッド型組織からアジャイル型組織への移行は簡単なことではありません。まずは試験的な導入を行い、自社に合ったアジャイル型組織の作成・編成方法を模索することをおすすめします。

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