DXとデジタル化の違いやそれぞれの定義を分かりやすく解説

近年、日本のビジネス業界で話題となっている「DX」。
2018年には経済産業省がDXを促進するための「DX推進ガイドライン」を作成・公開するなど、国も積極的に推し進める取り組みですが、そもそもDXとは何なのか、デジタル化とどう違うのか、疑問に感じている声も少なくありません。
そこで今回は、DXとデジタル化の違いと、相互の関係性、今DXが注目されている理由について、わかりやすく解説します。

DXとデジタル化の違いとは?

DXとデジタル化の違いを知るために、まずはそれぞれの定義と概要をおさらいしてきましょう。

DXとは

DXとは「Digital Transformation」の略で、デジタル技術(Digital)を用いて行う変革(Transformation)のことです。

スウェーデンにあるウメオ大学の教授であるエリック・ストルターマン氏が提唱した概念で、もとはITを浸透させることにより、あらゆる面で生活を良い方向に変化させることを意味していました。


しかし、実際にITが広く普及した現代では、その定義は若干形を変え、今日では「デジタル技術を用いて組織に変化を加え、業績を改善する」といったビジネス手法のひとつとして認識されています。

経済産業省が作成したDX推進ガイドラインでも、

DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。[注1]

[注1]経済産業省:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)

一方で、デジタル化とは、既に存在するアナログなものをデジタル技術によってオンラインに移行することです。
たとえば、書類などの紙媒体を電子データに移行したり、文書でのやり取りをeメールで行ったりする取り組みはすべて「デジタル化」に含まれます。

DXとデジタル化は目的に違いがある

DXとデジタル化は、どちらもデジタル技術を駆使するという点で共通しています。
そのため、DXとデジタル化はしばしば混同されがちですが、それぞれ目的に違いがあります。

まずデジタル化ですが、アナログなものをデジタルに変えることで業務を効率化することを主な目的としています。

たとえば、書類などの紙媒体を電子データ化して保存・管理したり、文書のやり取りをeメールで行ったりすることで、文書の作成や郵送にかかっていた手間や時間、コストを大幅に削減することができます。

ただ、デジタル化はあくまでもともとあった物をオンラインに移行するだけなので、新たなサービスやワークフローを生み出すわけではありません。

一方、DXの目的はICT(情報通信技術)やデジタルの特性を活かすことによって新たなサービスを確立し、DX推奨ガイドラインでいうところの「競争力を高める」ことにあります。

たとえば、デジタル化したデータを活用して「脱はんこ」の承認プロセスを確立したり、クラウドサービスで情報をリアルタイムに共有・活用したりするのは、アナログでは実現できないサービス・ワークフローです。

こうした新たなサービス・ワークフローの確立によって業務生産性をアップし、組織として成長・発展を遂げることは、業界で生き残るための「競争力の向上」につながります。

つまり、DXとは単純にアナログのものをデジタルに変えるだけでなく、その一歩先にあるサービスやワークフローを確立し、組織の競争力を向上させるための取り組みといえます。

DXとデジタル化の関係性について

DXとデジタル化は目的こそ異なるものの、根本的な部分では密接に関係しています。

そもそも、ICTやデジタルの特性を活かすことを前提としているDXは、デジタル化を行って初めて成り立つものです。

わかりやすいDXの事例として、不動産会社で実際に行われている「賃貸物件のオンライン見学予約」を紹介しましょう。

かつて賃貸物件探しといえば、以下のようなステップを踏む必要がありました。

  1. 顧客が不動産会社の店舗に足を運ぶ
  2. 担当者に希望物件の条件を伝える
  3. カタログを見ながら担当者におすすめ物件をピックアップしてもらう
  4. 気に入った物件があったら見学を申し込む

しかし、近年では希望条件をWEB上で入力するだけで、条件に合致した物件とその詳細情報が自動表示され、気に入った物件があったらそのページから見学予約をオンラインで申し込めるサービスが定着しています。

現時点で気に入った物件がなかったとしても、検索条件を保存しておけば、条件に合致した物件が出てきた時点でメールに通知が届くなど、便利なフォローサービスも展開されています。

このDXのベースとなるのは、不動産会社が保有する物件情報(物件の外観写真や間取り、設備、家賃等)を掲載したカタログをデジタル化したポータルサイトで、DXにあたる絞り込み検索やおすすめ物件のレコメンドは、このポータルサイトがあって初めて実現するものです。

つまり、デジタル化はDXの第一段階ともいうべき必要不可欠なステップであり、DXを推進するには、まずデジタル化の普及・促進が先決となります。

DXが注目されている理由

エリック・ストルターマン氏が今日のDXの基盤となる概念を提唱したのは2004年、そして現在のようにデジタル技術を駆使して組織の競争力を高めるというビジネス視点での概念が生まれたのは2010年頃のことです。

しかし、経済産業省がDX推奨ガイドラインをまとめたのが2018年であることからもわかる通り、日本でDXが注目され始めたのはごく最近です。

ここでは、DXが注目されている理由2つを紹介します。

1. 「2025年の崖」問題

なぜ今、日本でDXが注目されているのか、その理由は経済産業省が掲げた「2025年の崖」問題にあります。

2025年の崖とは、複雑化・ブラックボックス化した既存システムの問題を解決できずに2025年を迎えた場合、現在の約3倍にあたる年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性を示唆したものです。[注2]

 [注2]『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~

デジタル化が進んでいる現代では、さらにその一歩先を進んだDXに取り組み始めている企業も少なくありませんが、現行のシステムが事業部門ごとに構築されており、横断的なデータ活用ができないこと。過剰なカスタマイズによってシステムそのものが複雑化・ブラックボックスかしていることなどから、中小企業を中心に「DXを進めたくてもできない」という状態に陥っているのが実状です。

DX推奨ガイドラインの冒頭にもある通り、現在はあらゆる産業において新たなデジタル技術を活用した新しいビジネスモデルを展開する新規参入者が増えており、従来の枠組みやルールが新たなものへと切り替わる「ゲームチェンジ」が起こりつつあります。[注3]

[注3]経済産業省:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)

こうした新規参入者およびDXの推進に成功した一部大手企業と、DXの推進がうまく行かずに取り残される中小企業を中心とした既存起業の間で格差が広がると、産業そのものの衰退が進み、「2025年の崖」に直面することになります。

2. デジタル競争の生き残りをかけた取り組み

現在、デジタル化およびDXの推進が遅れている企業は、「デジタル競争の敗者」にならないよう、生き残りを賭けて既存システムの問題解決に取り組み、DXの推進につなげていく姿勢が求められています。

もちろん、DXの推進はただ時代に取り残されないようにするためのものではありません。

デジタル化およびDXが推進されれば、アナログ業務による時間や手間、コストを大幅に削減できる上、顧客のニーズに合致した新たなサービスを提供することによって業績・売上アップも期待できます。

また、近年は生産年齢人口の減少にともない、どの産業も人手不足が深刻化しています。デジタル化・DXによって業務効率を向上すれば、1人あたりの労働生産力がアップし、既存の人材のみで企業を成長・発展させていくことが可能です。

DXは今後の企業の成長・発展に必要不可欠!デジタル化で基盤を作り、DX推進に着手しよう

現代日本はインターネットやデジタルデバイスの普及により、既存のアナログ業務をオンラインに移行する「デジタル化」が進んでいます。

しかし、新たなデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルを展開する新規参入者が増えている今、単純なデジタル化だけでは時代の流れについていけず、「デジタル競争の敗者」になってしまう可能性があります。

DXの推進は、業務の効率化はもちろん、他社との差別化を図れる新たなビジネスモデル・サービスの創出や、労働生産性の向上など、企業の成長・発展に欠かせない要素を確立する有効な手段です。デジタル化と共にDXの推進にも積極的に取り組むことをおすすめします。

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